第三機会:丸の内歴史公園を作る



要旨
岡山城のそのすぐ周辺と城下駅、シンフォニーホールまでの間、西丸の辺を含める歴史的景観保全地区を設立する。このエリアの中で厳格な地区制を執行し、城または西丸の外壁の風景を妨げる建物を次第に除去する。

理由
岡山城そしてそれを囲む堀、城壁、櫓や歴史的住居に於いて、私たちの市は重大な文化遺産を所有している。きちんと管理されれば、この地区は市民に日常の美しさや心の安らぎを与えることもでき、有名な観光スポットになることもできる。

この可能性がまだ実現していない理由の一つは、この地区の歴史的・自然の美しさが隠れているからである。桃太郎通りから城または城の外壁までの景色が一般のビルに妨げられている。また、幼稚園や病院や駐車場などの機能的な施設がお城を眺める重要な土地を占領している。外壁の美しい石細工の大部分は一般のオフィスビルや住宅などに埋められている。この美しさが現れる時でも、駐車してある車や伝統的外観に欠けた住宅によってその光景が損なわれている。

病院、学校、オフィスビルまたは駐車場の重要な役割を尊重しながら、市と市民のために、この施設を徐々に上記の空中写真の青い地区から、より適切な地区に移転させる計画が設計されるべきである。この青い地区は、長期にわたって、岡山市民全員の遺産になる「歴史公園」に転用しよう。この場所に来る人々は、車を駐車したり、子供を幼稚園に迎えに行ったり、病院に通うためではなく、心の安らぎと想像力をかき立てるために来てもらうべきである。

説明
1. 榊原病院を移転させる

次の写真の右側にある8階建ての建物は病院である。航空写真に
黄色い点眼器印で示されている:



都市にとって、病院より大切な施設はありません。疑いもなく、榊原病院は岡山市民の基本的要求を満たしている。それにも関わらず、市民の高水準要求、例えば我々の創作性や想像力を豊かにする要求、は見失ってはいけません。旭川と城を望むことのできる、恵まれた、公園のような場所に病院を位置すると、基本要求を応えるのに高水準要求を犠牲してしまい、我々の市の歴史と自然が与えてくれた遺贈を放棄している。榊原病院は患者さんに必須のサービスを与えているけれども、病院の建物が旭川を威圧し、岡山城の風景を妨げている。

鶴見橋の西端から南への風景:


お城から、丸の内と桃太郎通りへの風景:


榊原病院の立体駐車場の間を覗いたお城までの風景:


病院が旭川と歴史的丸の内地区への美しい風景を添える城壁をほとんど埋めている







どこから見ても、病院の存在は圧倒的:




この位置は病院を設置するには非常に不適切である。市の自然・文化の遺産を損なわない、患者さんにとって、より便利な場所に移転するために努力していこう。現在の場所では、最寄りの公共交通は250メートル離れている路面電車の城下駅であり、駐車場も狭くてアクセスが難しい。この場所の代わりに、大きな道路にある、バス停と駐車場に便利な場所を、市と病院が協力すれば見つかるのではないだろうか。

2. その他に桃太郎通りからの視線を阻む建物を移転させる
桃太郎通りから岡山城までの視線を空けるためには、榊原病院を移転するだけでは不十分である。その他に、岡山市民会館、元内山下小学校、全日信販ビルやコンフォートホテルなど、桃太郎通りと城下筋の交差点の細々した建物を移動しなければならないのである。

次の航空写真の白い線は桃太郎通りを通す岡山駅から岡山城までの視線を示す(約 1.6 km):


次の写真はこの視線を妨げる建物をクロースアップに示す(今回視線は黄色くなっている):


妨げている建物の写真:







国指定重要文化財である西手櫓は岡山シンフォニーホールの東側にあるビル壁に埋められている。この1603年に建築された建物は昔に城下筋を通った人にすっきり見えた。そんな景色を将来に、私たちと次の世代の人たちは皆見たいであろう:





目障りになるのは次のビルである(城下筋の東側):


この他に、山陽放送会館そして林原美術館のそばにある幾つかの不適切な建物を歴史公園のために除去されるべきである。

山陽放送会館:


元内山下小学校から城に向くと、城ではなく、以下の白い建物にぶつかる。やや古い地図によると、山陽放送の一部になる:


左に、烏城みちのマンション。右に、林原美術館の北西部にある倉:


林原美術館の東南角に影を投げ掛けている建物:



林原美術館と内堀の真ん中のところを占める四階建て:


3. 岡山市民会館を再建する


市民会館は私たちのコミューニティの中で重要な集会場所である。未来の丸の内歴史公園にとっても、大事な役割を果たす。もし榊原病院などのお城への視線を妨げるビルが除去できたら、市民会館も同じために壊せなければならなくなる。しかし、同じ場所で、より低くて奇麗な、歴史的環境にふさわしい建物に替えることができる。お城への視線を阻むことなく、新月見橋と旭川灯籠みちが観賞できる窓を備えた、新市民会館は丸の内歴史公園の素晴らしい一部となるではないか。


背の低い市民会館は収容数は少ないが、現在は他のモダンな施設がこの役目を満たしている。

4. 公園が文化的活動の中心地となるため、他の施設を設置する。
榊原病院と山陽放送会館の移転により、立地条件のよい場所が空くことによって、様々な可能性が生まれる。その場所を上手く使えそうな施設が幾つかある。例えば、

(a)
野外劇場
榊原病院そしてその駐車場の土地は岡山城と旭川を広く望む傾斜を備える。つまり、野外劇場としての理想的な場所である。例として、タオルミーナ(イタリア・シチリア)のギリシャ劇場を考えてみましょう:


タオルミーナの劇場は自然のままの傾斜を利用している。舞台から離れている席はエトナ山 とイオニア海を一望する。誰も岡山とタオルミーナを混同しないけれども、より謙虚な規模で、私たちの市は独自の野外劇場の場所を提供する。榊原病院の駐車場に埋められている土塁は全景を与える傾斜を備えている:










野外劇場と言えば、和風の例もある:


この劇場は香川県高松市の四国村の一部である。公式サイトによれば、四国村は「四国各地から古い民家を移築復原した野外博物館です」。四国村の根底にある原理は、観光者または高松市の住民が便利に楽しめる場所に様々な伝統的な建築を集めるということである。この建築を貢献した町村はもうそれを整備する余裕がなかったため、便利な中心の位置に集めたことは高松市だけでなく、この町村にもプラスになった。未来の丸の内歴史公園のために、岡山市や岡山県がこの県に古い建築の持ち主と同じ様な協定を結べるではないかと、私たちは問いかけるべきである。建物を大事にする歴史公園を作っている買い手がいれば、幾つかの持ち主(困っている町村など)が古い建物を喜んで売って下さると考えられる。

新しい町を探している、以下のような野外劇場はどこかにないものだろうか?



野外劇場以外に、今榊原病院が占めている場所を上手く使えそうな施設は次の二つも挙げられる:
(b) 野外眺望台

次の写真は石山公園に現在においてある小屋を示す。二番目の写真は山形県にある野外眺望台を示す。もちろん周りの風景も変わるけれども、建物そのものを比較してみよう:



c) 野外音楽堂

この野外音楽堂はシドニーのハーバーブリッジを見渡せる:



次は
マサチューセッツ州(米国北東部)の海岸にある野外音楽堂である:


未来の丸の内歴史公園にこのような施設を置くことは、観光客と住民ともに楽しめる無料コンサートなどの完ぺきな環境を備える。

5. 元内山下小学校を再開発する

黄色い押しピンは
元内山下小学校の敷地を示す:


元内山下小学校は再開発のために極上の敷地を提供する。岡山の最も歴史的な地区そして最もモダンな地区の交差点に位置され、旭川と月見橋が直接見えることができる。西側にある建物が将来的に除去されるとすれば、桃太郎通りの全長も見えるようになる。この敷地は先祖が残してくれた西丸の外壁に囲まれ、元国宝の石山門の跡、国指定重要文化財である西手櫓も有する。この大きな、丘の上にある敷地は、上級な旅館などの開発のために岡山中心部の最善の立地を備える。

元内山下小学校 の現在(2008年7月)の様相:










この恵まれている場所の開発に対して、市は厳格な要項を課するべきである。まず、開発業者は城壁と西手櫓を永久に保守しなければならない。そして、建設される施設はこの周辺の歴史的特徴を尊重し、桃太郎通りから岡山城までの視線も守らなければならない。最後に、城壁の上にある胸壁を修復することも、この敷地開発に課せられた条件になるべきである(次の写真を参照)。


6. 内山下幼稚園を移転させる
内山下幼稚園は内堀の西南角に位置され、岡山城・月見橋・林原美術館を一望する。後ろには、魅力的な県立図書館図書館がある。確かに、 幼稚園の子供たちは、岡山市内での最良の風景に恵まれていると言っても良い。この唯一の場所はより適切に利用(例えば、カフェなど)されるべきである。歴史的環境に溶け込む建築様式で作られて、この堀辺のカフェは観光客の人気の中継地点になり、後楽園から林原美術館への観光回路の完成にも役に立つ。

幼稚園の底部が歴史的な(少なくとも歴史的に見える)石垣を含める:



幼稚園は内堀を見渡せ、月見橋まで直接観ることができる:



これは向かい側の月見橋から幼稚園までの視線である:



前の写真の幼稚園の裏にある大きな褐色の建物は、見事な岡山県立図書館である。次の二枚の写真が示すように、幼稚園は現在図書館の中から内堀や月見橋への風景を妨害している:



美的にも機能的にも、幼稚園がこの位置にあるのは不適切である。幼稚園を利用している方々を尊重しながら、全市民の最大の利益のために移転されるべきである。幼稚園の代わりに、歴史的な環境(そして素晴らしい県立図書館)と調和する建物を作ろう。

7. 丸の内歴史公園の居住地区に設計基準を採用する
丸の内には歴史的な住宅が幾つもある。その多くは美しい伝統的な外観を保持しているが、幾つかは、安っぽい、周りと釣り合わない壁や瓦や建具を加えてきている。この地区の歴史的外観を高めるため、市はこの町に細かい設計基準を採用するように奨励するべきである。同時に、基準に見合うため表面的な改善が必要な家主に資金提供すべきである。家主の出費補償を十分したら、丸の内の設計基準は皆に利益をもたらすのではないだろうか。

8. 駐車場を収拾する
提案する丸の内歴史公園の範囲は現在駐車場だらけである。

次の航空写真には、烏城公園内(右上の方)にある、初めの三つの黄色い押しピンは正式的な駐車場ではないが、車がよく止まっている場所を指している。また、数カ所の二本の押しピンは正式的には同じ駐車場を示しているかもしれない。いつものように、画像をクリックすれば大きくなる:


明らかに、この地区にはある程度の駐車場が必要である。まず、ここに住んでいるまたは営業を行っている人々には車を留める場所が必要である。また、観光客の車や観光バスを考慮に入れなければならない(例えば、現在の烏城公園駐車場は不可欠であろう)。しかし、この地区においての駐車を最小限に止めるべきである。車社会はもう岡山県に定着し、支配してしまったが、岡山市の歴史的な中心部だからこそ、その運命を防ごう。そうしなければ、この場所の特徴は消えてしまうから。

無くすべき駐車場は、榊原病院の駐車場や内堀と旭川の間のところを占めている駐車場が数えられる(後者は前の航空写真の右端にあり、点眼器印で表示されている)。

後者から内堀に向いてこんな風景があるが。。。


駐車ばかりでもったいない:


この駐車場は堀だけでなく、川、城、伝統的な住宅を見渡すことができる。丸の内の特徴を代表する美しい場所である。ここにこそ、城と堀と川を楽しむことのできる、奇麗な野外眺望台を設置しよう:


9. 県立図書館の例をまねる


岡山県、素晴らしい図書館の建設、おめでとうございます。建築家が周りの特徴にしっかりと着目され、それを強調して頂きました。一々建築家の仕組みを見てみよう。。。

(a) 堀を組み込んだ:


(b) 外壁を活用し、その一部を再建までしてくれた:




(c) 外注に自然の粗い手触りのある石造被覆を付けて、城壁のモチーフを借りた:



堀の南にある壁・ベンチに同じように工夫してくれた:


(d) お城への全景を上手く組み入れた:




(e) お城の色そして向かい側の県庁の色と形を上手く調和してくれた:


図書館は岡山城の理想的な隣人にもなり、お城から県庁への完璧な移行を実現してくれた。尚、図書館とお城の間に挟まっている幼稚園が移転できればいいのだが!


県立図書館の建築家に美しくて便利な図書館をもらっただけでなく、私たちの建築的遺産をどういう風に管理すれば良いかということも教えてくれた:

それを守る

それを見せる

それと調和する

それから刺激を受ける

今度この辺で再開発プロジェクトのため手伝ってもらう必要がある時、この図書館の建築家の名前を思い出そう(例えば、新しい市民会館または内山下幼稚園の代わりになる建物のために)。


資産家の権利を守る

丸の内歴史地区をより適切な使用に転用する方法を探しながら、移転しようとする建物の主の権利を守らなければならない。榊原病院、内山下幼稚園、山陽放送会館などのの資産家は、永久にこの場所で続くという適度な期待を抱いて、今の建物にかなり投資している。この投資そして資産家の権利を最大限の敬意を持って、主の皆様と一緒に適切な期間にわたってこの建物を移転しよう。

融資
丸の内の建物を移転・改造するために、市民からかなりの投資または政治的意欲が必要である。この運動は何年ではなく、何十年はかかる。しかし先送りすることはもうできない。この大型計画を成功するため、私たちの政治的指導者たちと一緒に長期に亘る基金(「スーパーファンド」)を蓄えておくために努力しよう。同時に、資産家そして岡山市の全住民がこの計画から利益を得るため、いろんな革新的な金融の提案を調査しよう。長い目で見れば、この計画が将来的にもたらす発展は、当初に資産家へ支払う補償金以上の利益をもたらすことは間違いないだろう。

結び
長期に亘って、市と県の指導者と一緒に丸の内歴史地区を保守・修復・増進していこう。この計画は指導者たちの在任期間より長く続くので、その成功は岡山市民と支援者の持続した政治的な意志に委ねられている。この目標への最初の一歩として、丸の内の住民と資産家との話し合いの上、共有の長期ビジョンを案出し、このビジョンに一致しない再開発を禁止しよう。

追伸: 埋まった歴史
この投稿の締めくくりに、私たちの市の歴史的魅力が埋められてしまったことを、もう一度意識していこう:








1 件のコメント:

tsunashima さんのコメント...

興味深い内容です。
我々は市民会館を保存改修して、岡山市立の美術館にすることを提案しています。
その他の周囲の景観に対する考えは同感です。
今後、共に考えていけたならと思います。